合同会社の設立

1. 株式会社との比較

 専門家としてではなく、一般のお客様の目線で解説させて戴きます。欧米では合同会社LLCは株式会社Corporationに匹敵する存在で、今回の会社法の目玉商品の一つです。会社法では、有限会社が設立できなくなったので、その後がまの措置として起業向けに設計されました。

 社員と会社との関係や、社員相互間の関係が密接な会社として、旧商法では人的会社がありました。新法では、この人的会社グループに合同会社LLCを加え、合名、合資会、合同会社を「持分会社」として第3編で規定しています。これらは株式会社への組織変更が可能です。

ただ、合名、合資については、無限責任社員が絡みます。有限責任社員だけの合同会社の制度が出来た今、設立する意味はありませんので、ここでは、合同会社LLC(Limited Liability Company)のみについて解説します。

(1) 定款自治

 合同会社LLCの最大の特色は「定款自治」と呼ばれるものです。
定款は憲法のようなもので、根本規則です。設立の際は、発起人たちの意思で定款を作らなければなりません。

 定款は法令による作り方の規則があります。しかし合同会社LLCの定款は株式会社の定款に比べ法律の縛りが圧倒的に少ないです。例えば「利益配当」の方法を社内で自由に決めることができます。株式会社KKですと「出資割合」に応じるのが原則です。ところが合同会社LLCの場合は価値はお金だけではなく会社が決める価値、例えば「技能」などを価値と認めるというのなら、その判断は「社内の自治にゆだねる」というのです。

(2) 出資割合に縛られない決議

言いかえれば、利益配分は経済リスクを負う株主の出資割合により決り、役員解任についても出資割合で決ります。しかし合同会社LLCでは、出資割合に関係なく、出資者の全会一致で、利益配分を予め決めて置くことが可能です。

そして、主役は「人」です。因みに株式会社KKでは、主役は「お金」です。合同会社LLCでは、出資者(社員と云います)の全会一致で物事が決議されます。決議は全会一致ですから、人と人は出資金によらず、社員全員が対等です。

 合同会社LLCのメリットを図解すると、次のようになります。

  ポイント

株式会社KK

    合同会社LLC

利益配分

出資割合に応じて決まる

定款により自由に配分割合を設定できる

議決権

出資割合に応じて議決権を持つ

出資者の全会一致で物事を決めるので、利益配分は定款自治の規定により変更できる

人的信頼

出資割合があれば、議決は多数決のみで決る

人と人の信頼があれば、技能と資金のコラボレーションが可能な組織ができる
つまり物的資本(お金)と人的資本を別の者が拠出し、利益の分配と支配の分配の調整が必要な場合は、この事業形態が適しています。
JV企業、ベンチャー企業、専門資格、投資ファンドの業種に向くように制度設計されました。

 

(2) 合同会社LLCの利用方法

 株式会社KKでは、出資により資金調達し、足りない部分は、社長や役員が「奥」から会社に資金を貸すか、銀行から借金するしかありません。しかし合同会社LLCでは少し様子が違います。当初から人と人又は会社と人が、対等に成果主義で利益(成果)の配分を予め決めて合同会社LLCを設立すれば、出資者はお金の部分で事業が成功する段取りを皮算用ができ、技能で参加する出資者(社員)はパートナーとして経営に参画できます。

この結果、技能で参加する者も株式会社の使用人ではなく、経営者の一員として運営に参画でき、働くモラルを高く保つことが可能です。蛇足ですが、その代わり経営が赤字の間は全ての業務執行社員(役員)は報酬を取ることができません。

 その分、業務執行社員(役員)は株式会社の役員とは比べものにならない程度に、人と人の絆が大切で、一心同体的な仕事の仕方をする覚悟が必要になります。だから代表社員が一人で社長の個人経費を会社に「紛れ込ませる」というようなことは、信頼の点から、しないように自粛する必要があります。

  論点

  株式会社KK

  合同会社LLC

知名度

事業としては一般に認知された事業体です。ですから、一応の社会的な信用が生まれます。

未だ一部の一般市民の間には馴染みが薄い場合があります。
名刺には、①株式会社、②代表取締役、③取締役という記載がなく、①合同会社、②代表社員、③社員と記載されます。ちょっと違和感を持つ人がいます。 

適した事業

 何にでも応用できます。

 少人数の企業、それも人と人のつながりが強い事業に向いています。
起業向きに制度設計がされた経緯があります。



















(3)
 設立費用と運営費用

 設立費用については、次のとおり大きく異なります。また設立は一時の費用ですが、その後の運営費に関しては、主に税理士事務所に支払う「税務顧問」の料金があります。これに関しては、起業時の報酬相場としましては年間20万円~50万円程度と思います。アアクス堂上税理士事務所では、年間5万円で面倒を見させて戴いております。

品質もこの1万円パック(①無料の顧問料 ②無料の税務相談料 ③無料の試算表検査料 ④無料の決算検査料 ⑤法人税等の申告料込み)で、起業家の運営に関する年間費用を、劇的にリーゾナブルに抑えております。この政策では2018年中にクライアント数を10,000にする戦略の一環として、明確な目標を持って定めた料金体系です。従って、いい加減な税理士事務所と推察するのは、少し考え方が違っています(所員総数15、社歴約30年)。

  論点

  株式会社KK

  合同会社LLC

設立費用
(アアクス堂上税理士事務所の場合)

電子定款の印紙 50,000円
認証定款の写し  2,900円
登記申請の印紙150,000円
手数料        0円

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合計    202,900円

定款認証(電子定款)    0円
*印紙税法第2条、別表第一,六。 保管する原子定款には4万円の収入印紙の添付が必要。但し電子定款の場合は印紙不要。 設立後に税務調査で問題になる。
定款作成費用       0円
登記申請の印紙    60,000円
手数料          0円   

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合計        60,000円

設立費用
(備考)

設立原価での設立サービスは、まず多少の報酬(HPの料金メニューに掲載)を支払って、2カ月以内に、税務セットのパック料金に申し込めば、税務顧問契約時に差額を返金します。

同左
(2カ月以内に税務セットのパック料金を申し込めば、差額が戻ります)。

運営費用
(上記税理士事務所の場合の概算)

利益の26.1%(事業税割り)
赤字法人の均等割(年)70,000円
法人税等の申告料(年)50,000円
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合計(赤字の場合)年12万円

利益の26.1%(事業税割り)
赤字法人の均等割(年) 70,000円
法人税等の申告料(年) 50,000円
-----------------------------------------
合計(赤字の場合) 年12万円

法的な制約

普通法人として課税され、会社法により法的責任を負います

普通法人として課税され、会社法の適用も受けます。従って法的には全く株式会社KKと比べて不利な点はありません。
ただ融資銀行によっては、合同会社が決算広告の方法を省略した場合、その開示を要求する手続きが必要な場合があります(官報掲載)。

2.合同会社の機関設計

 株式会社KKと似ていますが、合同会社LLCも下記の機関設計が必要です。アアクス堂上税理士事務所では、合同会社を無料で作成するサービスがあります(税務顧問契約とセット)。定款には、公証役場での定款認証が不要のため印紙税は不要です。

 ただ定款には次の項目が必要です。

  1. (商号)会社名
  2. (目的)業務内容
  3. (本店の所在地)本店所在地
  4. (広告の方法)省略すると「官報掲載」となる。
  5. (社員の氏名、住所、出資及び責任)有限責任
  6. (業務執行役員)業務執行を行う者
  7. (代表社員)

備考: 決算報告書の広告(通常は官報掲載)は不要です

 また合同会社設立登記申請書には次の書面添付が必要です。

  1. 定款1通

(保存原本(印紙4万円)とは別途に作成したものなので印紙不要)

  1. 代表社員、本店所在地及び資本金決定書面
  2. 代表社員の就任承諾書

  なお、代表社員が別法人の場合は次の書面が必要です。
(イ)登記事項証明書(謄本)
(ロ)職務執行者の選任書面 
(ハ)職務執行者の就任承諾書
(二)別法人の印鑑証明書

  1. 払込証明書(通帳の写し等)

  なお金銭以外の財産の場合は、資本金の額の計算証明書
が必要

   備考: 同時提出の書類として、
(⑤)代表社員の印鑑届出書
(⑥)代表社員の個人の印鑑証明書
(⑦)当事務所への提出(社員の個人の印鑑証明書)
(法令上は不要ですが本人確認のためお勧め)